フォーチュンクエストなどを世に送り出してきた
「深沢美潮」の短編集。3話収録されている。

1話目 〜TETORA〜
時代設定は今からそう遠くない5年後ぐらいを想定したものだろうか?完璧なバーチャル世界を体感しながらプレイできるオンライゲーム「TETORA」。中学1年生の準は、オンライン上で実力者として君臨していた。オンライン上で彼は「家」を買い、「家族」を「ペット」を買い、ゲームの中で「家族」を持った。
そして、そのゲームの中「だけ」のはずの家族は余りに優しすぎた……。現実世界と仮想現実の間で揺れ動く少年の心を描いた作品。

将来ほんとにこんな出来事が有りそうな気がして怖い。最近の技術の進歩は恐ろしいから……話は結構シリアスな展開で進んで最後に片をつけるようなさらっとした終わり方で締めます。さすが、深沢。キャリアが違うわ

2話目 〜私とロボットの関係〜

人がロボットに話しかけ、人の変わりに働き、共に共存し、共に感情を分かち合うようになった時代。島田恵理は従兄弟の亮からバイト名義でロボットの試験配備を頼まれた。そして、そのロボットと奇妙な共同生活が始まる。最初はそのロボットとのコムニュケーションが取れず関係がグシャグシャになっていくが、会話を重ねるごとに彼らの仲は深まっていった・・・。

これは一体何年後になるんだろうね、人の変わりにロボットがなんでもする時代ってのは、でも、それはそれで問題が結構有りそうだと思うけど。

それはそうと、この話の感想。
なんといっても「ブライアンのセミの鳴き声」に尽きるw

滅茶苦茶笑わせてもらいました。

最後の終わり方は個人的に大好きだ。こんな未来もアリかも知れない。

3話目 ファントムファーザー
江口舜一は普通の高校3年生。ある日、友人の三上弘司と会う約束をし待ち合わせをするため公園で待っていた所、自分と「瓜二つ」いや「そのもの」の自分がそこに居た。身長、体付き、顔付き、声、全てが似ていた。
その日から彼は友人の三上に堰かされその事実を確かめ始める。
そして、彼は知ってはいけない真実を知ってしまった少年の物語。

さすがに、この物語のように複製されたりはしないと思うけど、遺伝子工学なんかの研究が進められている今、絶対将来にコレに似た問題が浮上してくると思う。それにしても、この話は良く出来てると思う。

さすがは深沢 美潮と言った所だろうか、内容の斬新さもさることながら、ライトノベルとしての特性をうまく生かしきっている作品になっている。欠点は見当たらない。

評価:★★★★★

ISBN:4840226830 文庫 深沢 美潮 メディアワークス 2004/05 ¥578


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